ステンレスコラム

ステンレス加工の専門家
太華工業が運営するステンレスコラム

ステンレスの種類-分類方法①

これまでのコラムで、いろいろな研磨方法やステンレスが誕生するまでの歴史をご紹介してきましたが、今回からは新たなシリーズとして「ステンレスの種類」と題したコラムを展開していきたいと思います。

さて、ステンレスとひと口に言ってもその種類(鋼種)はものすごく多く、その数は優に数百種類を超えます。
たくさんの鋼種があるので分かりやすく分類するために、各メーカーのカタログでは「クロム系」「ニッケル系」「フェライト系」「マルテンサイト系」などといった言葉で分類されています。

しかしこれらの言葉はふだんの生活であまり馴染みがないので、ステンレスを日常的に取り扱うメーカーや加工業者の方は理解できても、そうではない方々には理解しにくい言葉ですよね。

そこで今回はまず、ステンレスの分類方法をなるべく分かりやすくお話しできればと思います。

ステンレスを分類する方法は大きく分けて『主要元素から分類する』『金属組織から分類する』という2通りの方法があります。

皆さん、こんな経験はありませんか?

SUS430をある人は『クロム系』と呼び、ある人は『フェライト系』と呼ぶ。
どっちが正解なの???

SUS430は鉄に次いでクロムが16~18%と多いので、主要元素から分類すると『クロム系』です。
しかし金属組織から分類するとフェライトという金属組織をしているので『フェライト系』ということになります。

つまりどちらも正解なのですが、SUS430をそれぞれ別の分類方法で呼んでしまうためにこのような混乱が起きてしまうのです。
『クロム系』はなんとなくクロムが多いのかな?と想像しやすいので主要元素からの分類だけで良い気もするのですが…ではなぜ分かりにくい金属組織でわざわざ分類するのか。

それは、ほとんどのステンレスがクロムとニッケルが主要元素だから。
一部モリブデンやチタンなどが比較的高い比率で添加されている鋼種もありますが、そのような鋼種でもクロムあるいはニッケルの含有比率を超えることはありません。

なので主要元素から分類してしまうとすべて『クロム系』か『クロム・ニッケル系』のいずれかになってしまい、そのステンレスの性質を説明するには少し大雑把すぎるのです。

では、その金属組織とはどのようなものか。
これはなかなか分かりやすくお話しするのが難しいので、次回以降でご紹介させていただきます。
(ちなみにこんな図が出てきます…)

いかがだったでしょうか、今回のステンレスコラム「ステンレスの種類①」

各メーカーの飽くなき努力によっていろいろな特長をもったステンレスが今もなお開発され続けており、ほぼ必ず「○○系」といった分類がなされているはずです。
このコラムで、いろいろなステンレスに興味を持っていただければ幸いです。

こちらのコラムでは「よく聞く言葉だけどいまいちピンとこない」「先輩や同僚に今さら聞くのもちょっと恥ずかしいな」というお客様の声にお応えし、なるべく分かりやすい言葉でいろいろな技術や事例を紹介していきます。

次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。